計画
SMTP 配信を使用したメッセージの転送は、2 つのサーバー間の Point-to-Point 交換として実行されます。送信 SMTP サーバーは、受信 SMTP サーバーと直接通信して、受信 SMTP サーバーとの双方向の転送チャネルを確立します。SMTP を使用したメッセージの送信では、次の処理が行われます。
1. 送信サーバーは、localpart@domain の形式の受信者のアドレスを調べ、ドメインネームシステム (DNS) でドメインを検索します。
2. DNS は、ドメインのメールエクスチェンジャ (MX) レコードを返します。このレコードには SMTP を使用したメールを受け取る、ドメインのサーバーの IP アドレスが示されます。
3. 送信サーバーは、TCP/IP を使用して受信側サーバーに接続します。その後、ポート 25 に SMTP 接続を確立し、メッセージを転送し、接続を終了します。
Domino サーバーに SMTP を確立する
Domino では、SMTP を使用したメールの送受信がサポートされており、受信には SMTP listener タスク、送信には SMTP ルーターが使用されます。これらのタスクは別々に有効にします。SMTP listener タスクは、SMTP の受信接続を処理し、受信したメッセージをこれらの接続を使用して MAIL.BOX に配信します。SMTP listener タスクは、それ以降の配信やメッセージの転送は行いません。サーバー文書の [基本] タブで、メールを受信するよう SMTP listener タスクを設定します。
SMTP の Router タスクは、Notes 配信を処理する Router タスクと同じです。MAIL.BOX 内のメッセージを別のサーバーに転送する必要がある場合、ルーターは送信先と、Notes 配信と SMTP のどちらを使用して送信するかを決めます。
デフォルトでは、SMTP は無効になっています。SMTP を使用してメールを送信するよう IBM Domino を設定するには、サーバー設定文書の [ルーター/SMTP] -> [基本] タブの設定を変更する必要があります。メールを次の宛先に送信する場合は、SMTP を使用するよう Domino を設定できます。
SMTP と Notes 配信の両方をサポートするサーバーでは、ルーターは MAIL.BOX で新規メッセージを検出するたびに、メッセージの転送に使用するプロトコルを選択します。メッセージのアドレスと形式、またローカル Domino ドメイン内部、ローカルインターネットドメイン外部、その両方のいずれに SMTP メールを送信するようサーバーが設定されているかに基づいて、ルーターは使用する配信を決定します。
SMTP を使用してローカルドメインアドレスにメールを送信する
ローカル Domino ドメイン内で SMTP を有効にすると、ルーターは同じ Domino ドメイン内の別の Domino サーバーにメールを転送する際に、SMTP を代替の配信プロトコルと見なします。ローカル Domino ドメイン内に SMTP メールを送信するようサーバーを設定する場合、次のオプションを選択できます。
デフォルトでは、ローカル Domino ドメイン内で SMTP を有効にすると、ルーターは SMTP を使用して、同じ Domino ドメイン内の別の Domino SMTP ホストにメールを転送できます。ローカルドメイン内の SMTP の使用を制限して、同じ Notes 名前付きネットワーク内のサーバー間でのメッセージ転送の場合にのみ SMTP を有効にできます。この制限を設定するには、サーバー設定文書の [ルーター/SMTP] -> [基本] タブの [TCP/IP 上の SMTP 経由で接続可能な、ローカルドメイン内のサーバー] フィールドを使用します。
受信サーバーで SMTP リスナーが実行されている場合、ローカル Domino ドメイン内で SMTP メールを送信するよう設定されているサーバーは、常に SMTP を使用して、同じ Notes 名前付きネットワーク内の目的のサーバーに MIME 形式のメッセージを送信します。Notes 形式のメッセージの場合、ルーターは、サーバーがすべてのメッセージを SMTP を使用して送信するよう設定されている場合にのみ SMTP メールを送信します。
ローカルインターネットドメイン外部に SMTP メールを送信する
外部インターネットドメインに SMTP メールを送信できるよう Domino を設定すると、サーバーは受信側ドメインのホストに直接またはインターネットホストに間接的にアウトバウンドインターネットメールを転送できます。
MAIL.BOX に保存されているメッセージの受信者アドレスに、@ 記号と、ローカル Domino ドメインに解決されないドメイン部分 (@ 記号の後のアドレスの部分) が含まれる場合、ルーターはメッセージの送信先をローカル以外と判断します。ローカル以外のアドレスは、RFC 821 インターネットアドレス (ドメイン部分にピリオドが含まれていて、localpart@org.domain の形式) または別の Domino ドメインのアドレス (たとえば、ポケベルやファックスのゲートウェイなど異種ドメイン) の可能性があります。
インターネットアドレスがローカルかどうか判断するために、ルーターは、Domino ディレクトリのグローバルドメイン文書に定義されているローカルインターネットドメインの中で、アドレスのドメイン部分と一致するものがないか調べます。ローカルインターネットドメインには、グローバルドメイン文書の [ローカルの最初のインターネットドメイン] フィールドと [インターネットドメイン別名] フィールドにリストされるいずれかのドメインが含まれます。グローバルドメイン文書がない場合、ルーターは受信者のアドレスのドメインをサーバーのホスト名と比較します。たとえば、メッセージに指定されたアドレスが jdoe@mailhost3.renovations.com で、ルーターを実行するサーバーが mailhub.renovations.com である場合、受信者がローカルインターネットドメインに属することが認識されます。
Domino メールシステムをインターネットに接続する
Domino は、インターネット標準の SMTP 配信プロトコルを使用してメールを配信するため、Domino システムで外部インターネットドメインからのメールを送受信するよう簡単に設定できます。送信メールの場合、指定されたサーバーのみが SMTP を使用して外部ドメインにメールを配信するゲートウェイ配信アーキテクチャを使用したり、すべてのメールサーバーが SMTP を使用して外部ドメインにメールを配信できるよう設定したりできます。受信メールの場合、ファイアウォールらインターネットドメインに入ってくるメールを Domino サーバーに配信する方法を決める必要があります。受信メールの設定方法は、所属する組織でインターネットドメイン名を 1 つ使用しているか複数使用しているかと、サーバーの分散具合によって異なります。
リレーホストを使用する
リレーホストとは、インターネットに接続して、インバウンドまたはアウトバウンドインターネットメールを転送または中継する SMTP サーバーまたはファイアウォールのことです。リレーホストは、複数の MX レコードに対応する DNS 名にもなります。リレーホストを使用するよう IBM Domino を設定するには、送信サーバーのサーバー設定文書にある 2 つのフィールドを使用します。[ローカルインターネットドメインから送信されるメールのリレーホスト] フィールドに中継の DNS 名かホスト名を追加し、[ローカルインターネットドメイン外にメールを送信するとき、SMTP を使用] を有効にします。
アウトバウンドインターネットメールを SMTP サーバーに転送するために Notes 配信を使用する
メールの配信に SMTP を使用しない内部 Domino サーバーでは、IBM Domino は Notes 配信を使用してアウトバウンドインターネットメッセージを Domino SMTP サーバーに転送します。次に、Domino SMTP サーバーが直接またはリレーホストを経由してインターネットにメッセージを転送します。Notes 配信を使用してインターネットメールを Domino SMTP サーバーに転送するサーバーを設定するには、異種 SMTP ドメイン文書と SMTP 接続文書を使用する必要があります。
関連概念 SMTP を使用してメールを送受信するよう Domino を設定する ドメインネームシステム (DNS) と SMTP メール配信
関連タスク SMTP 配信で送信されたメールをサーバーが受信できるようにする 外部インターネットドメインへの SMTP 配信を設定する ローカルインターネットドメイン内部での SMTP 配信を設定する インターネットとのメール送受信を準備する リレーホストまたはファイアウォールにメールを送信するよう Domino を設定する Notes 配信を使用して、アウトバウンドインターネットメールを SMTP サーバーに転送する SMTP 接続文書を作成する