インストール


IBM Notes のシングルユーザーからマルチユーザーへの移行支援ツールを使用する
単一の IBM Notes リリース内で、既存の IBM Notes シングルユーザーインストールまたはシミュレートされたマルチユーザーインストールから真の IBM Notes マルチユーザーインストールに変換するには、この手順を使用します。 移行が完了したら、IBM Notes マルチユーザークライアントのリリースレベルをアップグレードすることができます。

始める前に


このタスクについて

手順

1. IBM Notes アプリケーションを終了します。IBM Notes を実行しながら移行することはできません。

2. IBM Notes インストールキットの Utility フォルダで、MUMigrationAssistant.vbs ファイルと MUMigrationAssistant.ini ファイルを見つけます。

3. MUMigrationAssistant.vbs スクリプトを開き、埋め込みドキュメントを確認します。

4. テキストエディタで MUMigrationAssistant.ini 設定ファイルを開き、以下の値を指定します。
オプション説明
CURRENTINIPATH (必須) NOTES.INI ファイルの現在の場所を指定します。ユーザーのデータディレクトリの場所は NOTES.INI ファイルから取得されます。
NOTESPROGRAM(オプション) ユーザーの notes.exe ファイルの現在の場所を指定します。 これを指定しない場合は、最初に Windows レジストリ (バージョン 8.5.x 以前の場合は HKLM/SOFTWARE/Lotus/Notes/version/Path、IBM Notes 9.0 以降の場合は HKLM/SOFTWARE/Lotus/Notes/Path) で場所の判別が試行された後、ユーザーの NOTES.INI ファイルで判別されます。
MULTIUSERBASEDIR(オプション) ユーザーのデータディレクトリの移行先を指定します。 ツールの実行時に、指定されたディレクトリが存在するかどうかと、このディレクトリに対する読み取り/書き込み権限があるかどうかが確認されます。 ツールによって、Lotus¥Notes¥Data (IBM Notes 9.0 より前のバージョンの場合) またはIBM¥Notes¥Data (IBM Notes 9.0 以降のバージョンの場合) が自動的に付加されます。この値を設定する場合は、MULTIUSERBASEDIR%USERNAME% を含める必要があります。MULTIUSERBASEDIR の値を指定しない場合は、デフォルト値 CSIDL_APPDATA が使用されます。

重要: この設定に値を指定する場合は、MULTIUSERCOMMONDIR にも値を指定する必要があります。

MULTIUSERCOMMONDIR(オプション) 共通の共有データディレクトリの場所を指定します。 ツールの実行時に、移行されるデータを所有するユーザーに、指定されたディレクトリに対する読み取り権限があるかどうかが確認されます。

値を指定した場合は、その値に %USERNAME% 環境変数が含まれているかどうかがチェックされます。MULTIUSERCOMMONDIR の値を指定しない場合、デフォルト値 CSIDL_COMMON_APPDATA が使用されます。

ツールによって、Lotus¥Notes¥Data (IBM Notes 9.0 より前のバージョンの場合) またはIBM¥Notes¥Data (IBM Notes 9.0 以降のバージョンの場合) が自動的に付加されます。

重要: この設定に値を指定する場合は、MULTIUSERBASEDIR にも値を指定する必要があります。

DRYRUN(オプション)
  • True (デフォルト) - ツールの実行時に、実行結果として生じる変更内容を示すレポートが生成されますが、移行は実行されません。
  • False - ツールの実行時に、移行が実行されます。
MIGRATE_REGISTRY
  • True - HKLM レジストリ設定が移行され、すべてのユーザーのデスクトップショートカットと [スタート] メニューのショートカットが更新されます。
  • False - レジストリ設定の移行もショートカットの更新も行われません。

シミュレートされた IBM Notes マルチユーザーインストールから移行する場合は、cscript コマンドの実行時にコマンドプロンプトでこのオプションを指定できます。
MIGRATE_USER_REGISTRY
  • True - レジストリ設定が移行され、ツールを実行するユーザーのみのデスクトップショートカットと [スタート] メニューのショートカットが更新されます。
  • False - レジストリ設定の移行もショートカットの更新も行われません。

シミュレートされた IBM Notes マルチユーザーインストールから移行する場合は、cscript コマンドの実行時にコマンドプロンプトでこのオプションを指定できます。
MIGRATE_SHARED_DIR
  • True - すべてのユーザー間で共有される共通データファイルが移行されます。これらは、IBM Notes マルチユーザーインストールの実行時に共通の共有ディレクトリにインストールされたファイルです。
  • False - 共通データファイルが移行されません。

ユーザーのテンプレートなど、移行するファイルが他にもある場合は、それらをファイルにリストし、次の設定 MIGRATE_SHARED_FILES でその場所を指定することができます。

移行するファイルの移行先をカスタマイズするには、MULTIUSERCOMMONDIR 設定を使用します。

シミュレートされた IBM Notes マルチユーザーインストールから移行する場合は、cscript コマンドの実行時にコマンドプロンプトでこのオプションを指定できます。

MIGRATE_SHARED_FILESmigratefilelist.txt テキストファイルの名前と場所を指定します。このファイルには、移行先の共有ディレクトリに移行するその他のファイル (ユーザー定義のテンプレートや、IBM Notes でインストールされなかったファイルなど) がリストされます。

この設定を使用するには、前述の設定 MIGRATE_SHARED_DIR の値を True に設定する必要があります。

シミュレートされた IBM Notes マルチユーザーインストールから移行する場合は、cscript コマンドの実行時にコマンドプロンプトでこのオプションを指定できます。

MIGRATE_USERDATA_DIRこの設定を使用するのは、シミュレートされたマルチユーザーインストールから真のマルチユーザーインストールに移行する場合のみです。
  • True - ユーザーの個人データファイル (ユーザー ID、テンプレート、データベースなど) が、MULTIUSERBASEDIR 設定で指定されたディレクトリに移行されます。 値は、ユーザーごとに true に設定する必要があります。
  • False - 個人データが移行されません。

NOTES.INI ファイルから移行元データディレクトリの場所が判別されたら、移行される各ファイルがこのデータディレクトリ内にあるかどうかと、これらのファイルを操作する権限がツールにあるかどうかが確認されます。

StartUp Group または RunOnce レジストリキー内に、各ユーザーが移行後に初めて Windows にログインした際にデータを自動的に移行するスクリプトを実行するためのバッチファイルを作成できます。各ユーザーの移行元データディレクトリが個別のドライブ上にある場合は、ユーザーごとに個別にツールを実行する必要があります。

MULTIUSERBASEDIR に値を設定しない場合は、デフォルトのユーザーデータパスで指定された場所にデータが移行されます。IBM Notes 8.5x 以前のデフォルトパスは C:¥Documents and Settings¥username¥Local Settings¥Application Data¥Lotus¥Notes¥Data です。IBM Notes 9.0 移行のデフォルトパスは C:¥Documents and Settings¥username¥Local Settings¥Application Data¥IBM¥Notes¥Data です。

シミュレートされた IBM Notes マルチユーザーインストールから移行する場合は、cscript コマンドの実行時にコマンドプロンプトでこのオプションを指定できます。


5. MUMigrationAssistant.ini ファイルを保存して閉じます。

6. MUMigrationAssistant.vbs スクリプトを閉じます。

7. 設定ファイルで DRYRUN オプションの値を true に設定した後、コマンドプロンプトで以下のように入力して、移行のテストを実行します。


8. 出力されたレポートを確認し、MUMigrationAssistant.ini ファイルの調整が必要かどうかを判断します。必要な場合は、この時点で調整します。

9. 設定ファイルで DRYRUN オプションの値を false に設定した後、コマンドプロンプトで以下のように入力して、移行を実行します。


タスクの結果

LotusInstall.log ファイルにアクティビティが記録されます。このファイルは、インストールユーザーの My Documents フォルダと、移行後のユーザーのデータディレクトリ内にあります。

例: シミュレートされたマルチユーザーインストールから真のマルチユーザーインストールへの移行

このシナリオでは、シミュレートされたマルチユーザー環境と、共通およびユーザー固有のデータファイルが格納された共有ドライブを使用して、1 台のコンピュータで複数のユーザーが作業を行うように構成されています。

以下の該当するユースケースに基づいて、ユーザーを移行します。

ユースケース 1 - すべてのバージョンの IBM Notes での単純なシングルユーザーからマルチユーザーへの移行

このユースケースでは、IBM Notes 8.5.1 はシングルユーザーモードでインストールされ、プログラムファイルは C:¥Program Files¥IBM¥Lotus Notes に、データファイルは C:¥Program Files¥IBM¥Lotus¥Notes¥Data にインストールされています。

ツールを実行して、以下を行います。


MUMigrationAssistant.ini に指定されている値は、次のとおりです。

DRYRUN=trueCURRENTINIPATH=C:¥Program Files¥IBM¥Lotus¥Notes¥Data¥notes.iniNOTESPROGRAM=C:¥Program Files¥IBM¥Lotus¥NotesIS_SIMULATED_MODE=falseMIGRATE_REGISTRY=trueMIGRATE_USER_REGISTRY=trueMIGRATE_SHARED_DIR=trueMIGRATE_USERDATA_DIR=trueMULTIUSERCOMMONDIR= MULTIUSERBASEDIR=

注: MULTIUSERBASEDIR と MULTIUSERCOMMONDIR は、空白のままにしてください。

ユースケース 2 - シミュレートされたマルチユーザーから真のマルチユーザーへの移行 - すべての共有データを移行するための最初のツール実行

このユースケースでは、IBM Notes 8.5.1 はシングルユーザーモードでインストールされていますが、各ユーザーのデータディレクトリがネットワークドライブにマップされています。プログラムファイルは C:¥Program Files¥IBM¥Lotus¥Notes にインストールされ、データファイルは H:¥data にインストールされています。すべてのユーザーの移行元データディレクトリがローカルであるか、共通ネットワークドライブ上にある場合は、ツールを実行して、その Notes クライアントインスタンスの全ユーザーのデータを移行先データディレクトリに移行することができます。

ユーザーのマップ済みデータドライブへのアクセス権を持つシステムから、管理者として MUMigrationAssistant を実行し、以下のことを行います。


MUMigrationAssistant.ini に指定されている値は、次のとおりです。

DRYRUN=trueCURRENTINIPATH=H:¥data¥notes.iniNOTESPROGRAM=C:¥Program Files¥IBM¥Lotus¥NotesIS_SIMULATED_MODE=trueMIGRATE_REGISTRY=trueMIGRATE_USER_REGISTRY=falseMIGRATE_SHARED_DIR=trueMIGRATE_USERDATA_DIR=falseMULTIUSERCOMMONDIR=C:¥notes¥commonMULTIUSERBASEDIR=H:¥data

ユースケース 3 - シミュレートされたマルチユーザーから真のマルチユーザーへの移行 - 各ユーザーがそれぞれのデータを移動するためにログインしたときの後続のツール実行

このユースケースでは、IBM Notes 8.5.1 がシングルユーザーモードでインストールされていますが、各ユーザーのデータディレクトリはマップされたドライブ上にあります。管理者は、ユースケース 2 と同じように、Notes クライアント上のシングルユーザー設定をマルチユーザーインストールに移行しました。ここでは、各ユーザーがシステムにログインします。

ユーザーはログインして MUMigrationAssistant を実行し、以下を行います。


MUMigrationAssistant.ini に指定されている値は、次のとおりです。

DRYRUN=trueCURRENTINIPATH=H:¥data¥notes.iniNOTESPROGRAM=C:¥Program Files¥IBM¥Lotus¥NotesIS_SIMULATED_MODE=trueMIGRATE_REGISTRY=falseMIGRATE_USER_REGISTRY=trueMIGRATE_SHARED_DIR=falseMIGRATE_USERDATA_DIR=trueMULTIUSERCOMMONDIR=C:¥notes¥commonMULTIUSERBASEDIR=

注: MULTIUSERBASEDIR は空白のままにしてください (これがデフォルト値です)。

関連概念
IBM Notes のシングルユーザーからマルチユーザーへの移行支援ツールについて理解する

関連タスク
Windows でマルチユーザー用に Notes をインストールおよびアップグレードする

関連情報
Backing up and restoring Notes client data